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- PatiPati (Ver 4.4)-






GUNDAM 00
Graham・Setsuna











 潜伏地に潜んでから半月――。
 すぐに動きを見せるかと思ったテログループはけれど、潜んでから半月も経つというのに動きを全く見せなかった。これは長引きそうだと嘆息しながらも、向こうから動いてくれなければ、こちらから動くわけにはいかない。何より、向こうにも第三者にもこちらの動きを悟らせてはいけないという制約が刹那にはあった。
 世界は再び平和を取り戻し始めた。それは人の手によって管理された仮初めの平和ではない、人と人とが対話を初めて得た、長年求め続けてきた平和。けれどやはり人は争いを求め続ける生き物であり、いざこざは絶えない。それでも以前の抑圧された平和よりも、ずっと良い。何より人々の笑顔がそれを物語っていた。
 数日分の食料品を買い込んだ刹那は、買い忘れがないことを確認してから帰路につこうとした。そろそろ定時連絡が来る頃合いでもあった。人の賑わいに紛れて歩き出した刹那に向かって、人が近づいてくる。殺意も何もないそれを気にも留めていなかった刹那だったが、腕を引かれてようやく身を構える。
「やはり……!」
 君だったかと、腕を引いた相手の姿に刹那は目を瞠る。
「お前は……」
 初めて彼を見る相手は、目を背けるか、あるいは凝視してしまうかの二択がほとんどだった。それほどまでに彼の顔の右側には深い傷が刻まれていた。
「グラハム・エーカー」
「覚えていてくれて嬉しいよ」
 にっこりと微笑むその姿は、かつて見たどの姿とも違う穏やかなものだった。
「まさか君とこの場所で出会えるとはね、少年――否、刹那」
 名前を呼ばれ、刹那は嫌そうに顔をしかめる。
「誰に聞いた?」
 そう、グラハムに名乗った覚えはない。それなのにコードネームとはいえ名前を知っていると言うことは、誰かからか聞いたということだ。心当たりは数人いたが、誰なのか全く分からなかった。
「さあ、誰だろうね。知りたければ、教えてあげよう。その代わり、この後少し良いかな?」
 軽く食事に付き合って欲しいと誘うグラハムに、刹那は間髪を容れずに断った。
「必要ない。だから今すぐ離せ」
 以前のように敵対してないとはいえ、味方とは言い難い相手と長時間一緒にいるつもりはなかった。何より誰から名前を聞いていようと、刹那には興味の欠片もない。どうでも良いから、腕をつかんでいる手を離せとグラハムを睨み付ければ、つれないなと肩をすくめる。
「少しは私に興味を持って欲しいんだが」
「そんなものは一生持つことはない」
「本当につれないな。私はずっと、君のことが知りたくてたまらないのに」
 初めてガンダムを見たときから、焦がれてやまなかったと告げるグラハムに、刹那は眉を寄せる。
「あんたが知りたいのはガンダムだろう」
 そう、直接対峙したのはアザディスタンが初めてだった。しかもあの時、互いに互いの素性は知らなかった。常にガンダムに執着し続けてきたグラハムが求め続けてきたのは、自分ではなくガンダムだろうと刹那が言えば、それは違うと即座に返ってきた。
「確かにガンダムを私は求め続けてきた。けれどそれは、あの青いガンダムだからこそだ。君の操るガンダムだったからこそ。突き詰めれば、全ては君自身ということだよ」
 それこそ意味が分からないと、刹那は眉間の皺をさらに深く刻む。
「出会ったときよりも成長したと思ったが、そこだけは子どもだな」
「誰が子どもだ……っ!」
「君はまだ、恋を知らないだろう? 恋を知らなければ、大人にはなれないよ、刹那」
「ならお前は、知っているというのか?」
 お前がと、顔をしかめる刹那に、グラハムは愚問だなと返す。
「私は君に恋をしているよ。それこそ、出会ったときからね」
 きょとりと目を瞬かせた刹那は、嫌そうに顔をしかめる。本当に目の前の男は、いつだって刹那の度肝を抜くことばかりを言う。
「あんたとの会話は疲れる」
「そうか。それで、やはり食事は駄目かな?」
「嫌だ。何より、あんたと一緒に食事を取るような仲じゃないだろう」
「ならば仕方がない」
 諦めてくれたかと少しばかり期待した刹那だったが、それはすぐに裏切られた。
「勝手に君のあとを付いて歩こう」
「なっ!」
「言っただろう。私は君のことが知りたいのだと」
「だからといって! それより、仕事は……っ!?」
「なに。上司からたまには休めと、まとめて休暇をもらったばかりでね」
 運が良いと朗らかに笑うグラハムに、こっちは最悪だと刹那は呻く。何という運の悪さだろうか。これほどまでに自分の運のなさを嘆いたのは初めてのことだった。
「……食事を一緒に取ったら良いのか?」
「まずはそこからで良いかな」
「……付いてくるな」
「君が私ときちんと会話をしてくれるというのなら、約束しよう」
 くそっと吐き出した刹那は、渋々と頷く。良かったと嬉しげに笑うグラハムに反して、刹那はどこまでも己の運のなさを嘆かずにはいられなかった。






それは、束の間の