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- PatiPati (Ver 4.4)-






CODE GEASS -Lelouch of the Rebellion-
Schneizel・Lloyd・Lelouch











 アリエス宮の中庭の一角に作られた薔薇園――。見事なまでに美しい薔薇たちが咲き誇る薔薇園で、ルルーシュはマリアンヌと母の名をつけられた一輪の薔薇に手を伸ばそうとした。
 それは他のどの薔薇よりも美しく、見事な深紅の色をして咲き誇っていた。父から送られた自分の名を冠した名をした薔薇を母に送ったら、喜んでくれるだろうか。そんな期待に胸躍らせながら伸ばした手があと一歩のところで薔薇に触れそうになったとき、他に伸びてきた手によって腕をつかまれた。
「何をしていらっしゃるんですか、ルルーシュ殿下?」
 気配も何も感じさせずに背後から近寄ってきたロイドに、ルルーシュはびっくりしたと目を見開く。
「ロイドさん?」
「薔薇には鋭い刺があります。迂闊に素手で触ってしまえば、手を怪我されますよ」
 触る前に気づいて良かったと、ロイドはひとり安堵する。
「ロイドさん、どうしてここに?」
「ルルーシュ様を探していたんですよ」
「どうしてですか?」
 何か用でもあっただろうかと、ルルーシュは首を傾げる。
「少しでも長く、お傍にいたいからです、ルルーシュ殿下」
「えっ?」
「もう少ししてから言うつもりだったんですが」
 一度言葉を切ってから、ロイドは汚れることもいとわずに地面へと膝をつく。
「いつか、僕をあなたの騎士にして下さい」
「ロイドさん?」
「お嫌ですか、ルルーシュ殿下?」
 首を傾げてみせるロイドに、ルルーシュは力一杯首を横に振る。
「僕の騎士になってくれるんですか?」
 ロイドがアリエス宮に訪れるときは、必ずシュナイゼルと一緒だった。だからきっとロイドは、シュナイゼルの騎士になるものだとルルーシュは思っていた。
 幼いルルーシュにとって、ロイドは憧れの存在だった。すでに軍での功績も著しく、異母姉であるコーネリアもまたロイドのことを認めているぐらいには、軍人として優秀だった。そのロイドが――。
「ぜひともルルーシュ様の騎士にして下さい。それが僕の望みです」
「じゃあ、いつか必ず、絶対僕の騎士になって下さいね、ロイドさん」
 今はまだ叶えることはできないけれど。いつか騎士を持つことを許される日が来た日には。
「約束ですよ、ルルーシュ殿下。いつかあなたの騎士になれるその日まで、僕は今以上に強くなります。だから、いつか訪れるだろうその日に、僕を騎士にして下さい」
「はい! 約束ですね」
 約束だと。ふたりは誓い合った。
 いつかその誓いが叶う日をお互いに願いながら――。





いつか、必ず――。






「ロイド、貴様……っ!」
 友人として長い付き合いがあるシュナイゼルが、ここまで怒り狂った姿を見るのは初めてかもしれない。そう暢気に思っていられたのは、長くはなかった。
「どうしたんですか、シュナイゼル殿下?」
「ルルーシュの騎士になるというのは本当なのか!?」
 ああ、なんだそんなことかと、ロイドはあっさりと頷く。
「ルルーシュ殿下からお許しをもらったので、いつかルルーシュ殿下の騎士になりますよ」
 そう、シュナイゼルと共にアリエス宮へと足繁く通っていたのは全てルルーシュがいたからだ。その彼の騎士になりたいと思うのは、何もおかしいことではない。
「そんなことは許さない!」
「許さないって言われましても、ルルーシュ殿下とすでに約束しちゃいましたし」
 そもそもシュナイゼルの許可など必要ないことだ。それを許さないと言われてもと、ロイドは困惑する。
 異母兄弟でありながら、無邪気に懐いてくれる数少ないルルーシュとナナリーを、シュナイゼルはそれはそれは可愛がっていた。時にロイドがこのブラコンと思うぐらいの可愛がりは常軌を逸していると思ったことがないわけではなかったが、そこは苦労の絶えないシュナイゼルの暴走とこれまで目を反らし続けていた。主に、心の平穏のためであったが。
「だからといって、許さないと言ったら許さない!」
「はあ」
 気の抜けた返事をする以外、どうすれば良かったのだろうか。後に何度も、ロイドはこのときのことを後悔した。
「アリエス宮には二度と近づくな、ロイド」
「はあ! ちょっ、シュナイゼル殿下、それって横暴しすぎやしませんか!」
 そもそもそんなこと許されると思ってるんですかと、ロイドはシュナイゼルへと詰め寄る。
「私が駄目だといったら駄目だ。悪い虫は早めに摘んでおかなければ」
「僕は悪い虫扱いですか!」
「悪い虫だろう。私からルルーシュを取ろうとしているんだから」
「その意味が分かりません! っていうか、ルルーシュ殿下はあなたのものじゃないでしょう!」
「うるさい、ロイド。とにかく、お前はルルーシュに近づくな」
 絶対に許さないからなと宣言したシュナイゼルは後日、その言葉ままに権力に物を言わせて、向こう10年もの長い間、ロイドをルルーシュに近づけさせようとしなかった。







同人誌『シュレディンガーの猫』より