青峰君と!   青峰×黒子




「テーツ」
「ダメですよ」
「ケチ」
 むすっと頬を膨らませる青峰に、黒子はため息をつく。
 本当ならば今頃は、部活動に精を出しているはずだった。それなのに放課後の教室で青峰とふたりっきりなのかといえば、青峰のテスト結果がよろしくなかったからだ。
 どのテストも赤点か、もしくは赤点に近いという結果に、教師陣は頭を悩ませた。どれだけ頭が悪かろうが、義務教育中は留年などあり得ない。けれどこのままアホのまま卒業させようものなら、高校を卒業することなどままならないだろう。
 仕方なく追試という形で再試験を受けさせることが決まったものの、元々の頭がよろしくない青峰に再試験を受けさせたところで結果は同じ。
 最終手段として教師陣が思いついたのは、再試験でも赤点をひとつ取れば、向こう一ヶ月部活動への参加禁止令だった。これにもちろん青峰は異議を唱えたが、全ては結果を出せば良いだけだと一蹴された。
 部活動には出たい。けれど、このままいけば再試験でも赤点を出してしまう。苦肉の策として、青峰は黒子たちに協力を願い出た。
 彼らもまた青峰の向こう一ヶ月の部活動参加禁止は痛く、仕方なく協力することとなった。そして今日は、国語だけは異様に点数の高い黒子が青峰の勉強を見ていた。
「青峰君、一ヶ月もバスケできなくなっても良いんですか?」
「それはやだ」
「じゃあ、頑張って勉強して下さい」
 頭が爆発しそうと呟きながらも、各教科の教師たちに用意してもらった学習用のプリントを青峰は解いていた。手がとまる度に注釈を入れる黒子に、青峰はなるほどと頷く。
「あー、早くテツとバスケしたい」
「僕も早く青峰君とバスケがしたいです」
 なあ、テツーと呼びかける青峰に、ダメですよと返しながら、黒子は用意してもらったプリントを最後まで頑張って解かせた。